チームの心を育てる

心理的安全性を高めるハートビーイング【中学校学級経営】

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こんにちは。

「心を育て、心をつなぐ」がモットーの体育教師。

心先生です。よろしくお願いします。

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最近心理的安全性が大切だということを聞くようになりました。

私も、心理的安全性を高める方法をぜひ知りたいと思っています。

そこで、心理的安全性のことや、具体的にどのような方法で心理的安全性を高めていけば良いのかを教えてもらえますか?

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確かに、心理的安全性はあのGoogleでも大切にされているものです。

この心理的安全性を高めることは、生徒が主体的に活動できるためには本当に大切です。

今回は、心理的安全性とはなにか。

また、心理的安全性を高めるための方法の一つでもある「ハートビーイング」についても解説します。

最後まで、読んでみてください。

この記事を読んで欲しい人

学級経営に心理的安全性がなぜ必要かを知りたい人

心理的安全性を高めるための具体的な方法を知りたい人

心理的安全性とは何か

心理的安全性次のような意味を指します。

心理的安全性とは

「心理的安全性」とは、「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」のことで、ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授が1999年に提唱した概念。

エドモンドソン教授によると、心理的安全性が高い状態とは「チームにおいて“他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰をあたえたりしない”という確信を持っている状態。対人関係にリスクのある行動をとったとしても、メンバーが互いに安心感を共有できている状態」と定義されている。

つまり、

心理的安全性とは「生徒が自分の意見を伝えたり、挑戦して失敗した時にも、クラスの誰からもバカにされたり、責められたりしない安心できる状態」

ということです。

私自身も4月にクラスが始まった時にはこのような話をします。

学校は教育を受ける場所です。

つまり、

学校は成長する場である

ということを覚えておいてください。

あなた達は、毎日のように学校にきて、「授業」「休み時間」「学校行事」「委員会活動」「クラブ活動」と、様々な場面で、たくさんのことを学んできたはずです。朝起きて、学校で1日を過ごした自分と、1日を終え、寝るときの自分が少しでも変化していて欲しいのです。

では、成長するために必要なことは何でしょうか。

それは、 

挑戦すること

 です。

成長するということは、今の自分にできないことに取り組むということです。つまり成長とは、いつもできないことへの挑戦なのです。

そして、挑戦するために欠かせないことが、その場が

安全である

ということです。

想像してください。もし自分が、勇気を振り絞って授業で手をあげて発表して間違えてしまったときに、まわりから、「だっさー」「かっこわるー」「しったかぶりやん」などといった暴言と共に、笑い声が聞こえてきたとしたら・・・

次の機会に、もう一度挑戦できると思いますか。きっとできない人がほとんどではないでしょうか。心無い一言で、仲間の成長を妨げることになるのです。だから、自分が失敗しても受け入れられる「安全」や「安心感」が必要なのです。

その場が安全であるということは、何をするにしても大切なことになります。

安全なくして成長なし

と思ってください。

心理的安全性が低いとどうなるか

心理的安全性が低い状態とは、

自分が発言することで、チームのメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰をあたえたりしてくるように感じる状態です。

つまり、他人の顔色を伺っている状態とも言えます。

この状態で発言するということは、次のような不安が高まります。

  1. 無知だと思われることへの不安が増す
  2. 無能だと思われることへの不安が増す
  3. 邪魔をしていると思われることへの不安が増す
  4. ネガティブだと思われることへの不安が増す

これを中学生に置き換えるとこのようになります。

  • あいつそんな事も知らないの?
  • あいつこんな事もできないの?
  • あいつが話すといつも話が止まるから邪魔なんだよな・・・
  • あいついつも批判的なことばっかりいうから嫌なんだよな・・・

実際に、「クラスメイトにそう思われる」ではなく、

「思われたらどうしよう・・・」

と思うだけで、その生徒は挑戦できなくなってしまいます。

自分の意見を伝えることができない生徒にとっては、クラスでどんな話が進んでも「自分ごと」にはなりません。

一見、スムーズに話し合いが進んでいても、一部の生徒の発言が採用されるだけで集団としては育っていない状態になります。

先生方も初めての人達との研修などで、大人数の前で発表することに抵抗のある方も多いのではないでしょうか。

心理的安全性が高いとどうなるか

心理的安全性が高まり、生徒が他のクラスメイトに自分の発言を批判されないという確信を持つことができると、生徒が自分の意見を発言できるようになります。

生徒が発言できるようになると・・・

クラスの課題を自分事として捉えることができる

学級経営をしていると、クラスで話し合う場面は多くあります。

「クラスの決め事」「学校行事に向けて」「授業中」など1年間を通して、何度も何度も話しあう機会が訪れます。

この話し合いに、自分の意見を言わないまま時が流れていくと、だんだん

「また、クラスでの話し合いか」「早くおわらないかな・・・」

と、他人事のようになってしまう生徒が現れます。

クラスとは、偶然集まっただけのただの集団から始まりますが、その後、チームへと育っていきます。

チームになるための初めの一歩は、「チーム意識を持つこと」です

だから、クラスで行われる話し合いは、本来は自分事として考えて欲しいものなのです。

クラスでの話し合いで、自分の意見を伝え、その意見をクラスの仲間が受け入れてくれると「クラスから承認されている」という感覚が生まれます。

自分も参加しているという所属感が高まります。

さらに、自分の発言が採用されると、自己肯定感や責任感が高まるのです。

そうなれば、自分には関係ない話し合いではなく、自分に関係のある話し合いだという意識が高まっていきます。

決定したことに対して行動しようという意識が高まる

自治的な集団を作っていく為には、「教師がきめた」ではなく、「自分たちできめた」と生徒に思ってもらうことは非常に大切です。

人間は誰かに「こうしなさい」と言われ、他人に決められた目標と、自分で「こうしたい」と考えて、自分で決めた目標ではそこに生まれてくる責任感が大きく異なります。

クラスメイト同士で協力できるようになる

協力をするための基本は、コミュニケーションです。

相手を助けようと思っても、相手が何に困っているかわからなければ助けようがありません。

「もしかして、相手は困っているかな?」

と思っていても本当に困っているという確信が持てなければ、

「いらないおせっかいになったら嫌だな・・・」

と思って、助けようとしないケースがよくあります。

心理的安全性が高まると、相手が「困っているかな?」と思った時に、

「困っていることはない?手伝おうか?」

と自然に声をかけることができるようになります。

こういったコミュニケーションとれるようになると自然と協力することができるようになっていきます。

深い学びが生まれる

「深い学び」とは、学習活動を行う中で、ただ単に新たな知識を手に入れるだけではなく、これまで学んできた知識と関連を持たせたり、自分の考えとは違う情報に触れることで新たな視点を持ち、さらに自分の考えをさ深めていくことが重要です。

自分一人で考えていてるだけでは、新たな情報や考え方に触れ、深い学びを行うことは難しくなります。

しかし、クラスの心理的安全性が高まると、クラスメイトが発言することができるようになり、話し合いが活発になります。

話し合いが活発になれば、当然意見が食い違うことが起きます。

しかし、この意見の食い違いは、成長への大きなチャンスです。

いろんな立場から、いろんな視点での話が行われることで、これまで自分にはなかった新たな視点が生まれます。

他人の意見は、自分にはなかった考え方や新たな視点を与えてくれます。

だからこそ、いろんな角度からの意見がでることで、深い学びが生まれます。

自分たちで問題を解決する自治力が高まる

そして、話し合って決定したことを実行すると、上手くいったことや上手くいかなかったことが起きます。

そこで、ふりかえりを行います。

振り返りの中で、「もっとこうすればよかった・・・」という課題が出てくることがあります。

課題がでれば、今度は、「さらにクラスをよくしていく為にはどうすれば良いか」を話し合うことができます。

そして、改善方法を考え、もう一度実行していくのです。

こうした活動を繰り返していく中で、

教師が問題を解決するクラス

ではなく

失敗をしながらでも、自分たちで課題を解決することができるクラス

へと成長していくのです。

心理的安全性を高めるために必要なこと

心理的安全性が大切であると話をしてきましたが、心理的安全性を高める為には何が必要なのでしょうか。

それは、なぜ「自分の意見を言った時に批判されるかもしれない・・・」と感じるかを考えれば見えてきます。

私たちが話す時に、自然と相手の反応をみています

では、どんな反応をみているかと言うとこのようなものがあります。

態度

まずは、態度が大きく影響を与えます。

例えば、話している相手が次のような態度を立っていたらどう思うでしょうか。

  • 背中を向けている
  • 腕を組んでいる
  • 足を組んでいる
  • 下を向いている

きっと誰でも話にくく感じるようではないでしょうか。

だからこそ、話を聞く人は、「あなたの話を聴いていますよ」と伝わる態度で聞く必要があります。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

生徒の聞く力を伸ばすトレーニング 聴くための3つの準備と5つのポイント

表情

次に大切なことは表情です。

話している相手が、このような表情ではどうでしょうか。

  • 怒ったような顔をしている
  • 呆れた顔をしている
  • 退屈そうな顔をしている

これもきっと話しにくくなるはずです。

だから、話をきく人は、多様性を受け入れる必要があります。

「自分の意見と違う意見は、学びを生み出すこと」を理解し、まずは相手の意見を受け入れる気持ちが大切になります。

言葉

最後に言葉が大切になります。

言葉が心をつくる

といわれることがあるぐらい、言葉とは大切なものです。

私自身、生徒にこのように語りかけることがあります。

「言葉には力がある」

私は、そう思っています。

「がんばれ!」

たったその一言が、時に大きな力となることがあります。

あなたも、保護者から、友達から、先輩から、先生から言われたたった一言が、心の支えになったことはないでしょうか。

心を込めた言葉には、大きな力が宿ります。

想像を超えるぐらいの大きな力です。

しかし、時に「言葉」は人の心を傷つけます。

「うっとうしい」

その、心ない一言で深く深く傷つくこともあるのです。

そして、その傷はなかなか消えることがない大きな傷になることもあります。

だからこそ、言葉は正しく使ってください。

人を傷つける使い方ではなく、人に力を与えることができる使い方をしてください。

クラウ中にプラスの言葉がとびかうとクラスはきっと安心できる場所になります。

しかし、言葉とは心のクセです。

ふとした時に出る言葉は、クセになっているものがほとんどです。

だからこそ、仲間に力を与える言葉を使うことができるように習慣づけしていく必要があります。

心理的安全性を高める取り組み「ハートビーイング」

ハートビーイングとは、ハートの中にプラスの言葉を、ハートの外にマイマスの言葉を書いていく活動です。

目的に応じて、次の2種類を使い分けます。

  1. ポジティブな言葉を書き出する
  2. 助けて欲しいことを書き出す

目的に応じて使い分けてください。

用意するもの

用意するのは次の2つだけです。

  • 大きな模造紙
  • ペン

そして、大きな模造紙に大きなハートを記入します。

これで準備完了です。

ハートビーイングの方法 【ポジティブな言葉を書き出す】

ハートビーイングの目的

このハートビーイングの目的は、ポジティブな言葉とネガティブな言葉を書き出すことで、どんな言葉が増えると教室が暖かくなるかを共有することです。

クラスとして共有することで、クラスとしての価値観が統一されていきます。

方法

やり方は非常に簡単です。

  • ハートの中に、言われて嬉しくなるようなポジティブな言葉を書き出す。
  • ハートの外に、言われたら悲しくなるようなネガティブな言葉を書き出す。

方法はたったこれだけです。

私がクラスで実践する時には、

  1. 4人ごとの10班に分かれて行う。
  2. その後、クラスで交流する。

という形で行いました。

そして、有志で集まってくれた生徒が、放課後の時間を使って10班分の意見を大きな模造時にまとめてくれました。

実際にやってみるとこのような感じになります。

ハートの中の言葉は、マジックで書き目立つようにし、ハートの外の言葉はボールペンで記入してくれました。

この活動をおこな中で、ポジティブな言葉が溢れてくると暖かい気持ちになります。

その後の活用方法

ハートビーイングは、ポジティブな暖かい言葉をクラスで共有して終わるのではなく、今後の生活にいかしていく必要があります。

私は、「知っている」と「できる」は違うという話を生徒にもよくします。

何がポジティブな言葉で、何がネガティブな言葉かがクラスで共有されたら、今度は、ポジティブな言葉が意識して増えるような取り組みを行います。

私が取り組んだ方法は次のような方法です。

  1. 朝の時間に、一人がポジティブワードの中から1つ選びホワイトボードに書いて貼る
  2. かかれたワードを使うように意識して過ごす。
  3. 終礼で、選ばれた言葉を言ったかどうかを振り返る

私は、終礼では振り返る時は、

0回・・・グー

1〜2回使った・・・チョキ

3回以上使った・・・パー

というように手をあげてもらっていました。

この活動を続けていく中で、ポジティブな言葉が増え、ネガティブな言葉が減るようになり、言葉を大切にすることができる生徒が大きく増えていきました

暖かい言葉が増えると教室の雰囲気が暖かくなっていきます。

言葉の力と、暖かい話の聞き方を合わせて指導していき、暖かい言葉があふれ、暖かい雰囲気ができるようになると生徒は発言することへの抵抗がなくなっていきました。

すると活発に意見交換できるクラスへと成長していきました。

まとめ

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今回は、「心理的安全性を高めるハートビーイング」という取り組みを紹介しました。

生徒が成長するためのベースとして、心理的安全性を高めることは非常に大切なことです。

生徒の心理的安全性を高めるきっかけをつくるための一つの方法であるハートビーイングは非常に効果的な方法だと思っています。

取り組みはただのきっかけでしかありません。このきっかけをうまく使って、教室に暖かい雰囲気を作っていってください。

すると、生徒は積極的に挑戦できるようになり、大きく成長していくことは間違いありません。

今回も最後までお読みいただいてありがとうがざいました。

ABOUT ME
心先生
「心を育て、心を繋ぐ」がモットーの中学校教師、心先生といいます。 30代前半の体育教師です。専門種目はバスケットボールです。私自身、バスケットボールを通して、心が育った経験から、生徒たちの心を育てたいと考えるようになりました。 生徒を育てるために、日々奮闘している先生の何か役にお役にたてればと思い発信しています。