チームの心を育てる

リーダーシップより大切なフォロワーシップの育て方【中学校学級経営】

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こんにちは。

「心を育て、心をつなぐ」がモットーの体育教師。

心先生です。よろしくお願いします。

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いつまで経ってもリーダーが育たないと思って困っています。

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生徒たちの力で課題を解決していくような自治的なチームへと育てていく中では、リーダーの存在は欠かせません。

でも、リーダーを育てる前に育てなければいけないのはフォロワーシップです。

クラスメイトのフォロワーシップが高まるからこそ、リーダーはクラスを引っ張っていくことができます。

クラスメイトのフォロワーシップは高まっていますか?

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フォロワーシップのことは考えたことがありませんでした。

どうすればフォロワーシップとは何かを教えてください。

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わかりました。

今回は、「フォロワーシップとは何か」を詳しく解説させていただきます。

フォロワーシップという概念は、リーダーシップと比べると注目されていないかもしれません。しかし、自治的なチームを作るためには欠かせない非常に重要な要素になります。

ですので、最後までお読みいただけたら明日からの学級経営の考え方が少し変化するかもしれません。ぜひ最後までお読みください。

この記事を読んで欲しい人

生徒たちの力で課題を解決していく、自治的なチーム作りに興味のある人

リーダーが育たないとお困りの人

フォロワーシップとは何かが知りたい人

フォロワーシップとは

チームが成長していくためには、次のステップが必要になります。それが次の4つのステップです。

  1. チーム意識を育てる
  2. 心理的安全性を確保する
  3. フォロワーシップを育てる
  4. リーダーシップを育てる

ここでわかるように、リーダシップよりも先にフォロワーシップを育てていくことが大切になります。

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この記事を読む前に、こちらの記事を先に読んで頂けると今回の話の理解がより深まります。

ぜひ、ご覧ください →自治的なチームを育てるために大切なこと【中学校学級経営】

では、そんなフォロワーシップとは何なのでしょうか。

フォロワーシップとは

チームの成果を最大化させるために「生徒が、積極的かつ主体的にリーダー・他の生徒・教師などに働きかけ支援すること」です。

チームというものはリーダーの存在だけでは上手く機能しません。

チームがうまく機能するかどうかは、フォロワーの存在にかかっています。

なぜなら

リーダーの役割は、フォロワーシップを発揮させること

だからです。

しかし、教師になって間もない私は、リーダシップを育てることばかり考え、フォロワーシップを育てることなんて頭にありませんでした。

もし、あなたがリーダーとして体育祭を盛り上げようと思い、「体育祭優勝するぞー!」とクラスの前で発言した時に、次のどちらのケースの方がやりやすいでしょうか。中学生に戻ったつもりで考えてみてください。

  1. 「オー!」と賛同してくれるが、あとはリーダー任せで何もしない。
  2. 「オー!」と賛同し、その後、「リレーの作戦考えてきたよ!」「みんなで盛り上がるために円陣を作ろう!」「バトンパスが苦手は人は今度の昼休みにみんなで練習してみよう!」と主体的に周りの生徒に働きかけるフォロワーが多くいる。

そう考えると、フォロワーの重要性がわかるはずです。

だから、フォロワーシップがなければリーダーがどれだけ頑張ってもチームはうまく機能しないのです。

フォロワーシップの2つの要素

生徒のフォロワーシップを高めるといっても、何を高めたらいいかわかりにくいと思います。

しかし、フォロワーシップとは大まかには二つの要素でできています。

  1. 積極的か or 消極的か
  2. 主体的か or 依存的か

たったこれだけです。

一つ目は、積極的か消極的かです。積極的か消極的かの違いは、「自分が行動しようと思っているかどうか」です。積極的な人は、自分が行動を起こそうとします。消極的な人は、誰かがやってくれるだろうと思って行動を起こしません。

二つ目は、主体的か依存的かです。主体的か依存的かの違いは、「自分事として自分で考えているかどうか」です。主体的な人は、クラスの問題を自分の問題だと捉え、どうすれば解決できるかを考えます。依存的な人は、誰かが考えてくれることを待っています。

フォロワーシップが発揮できるかどうかは、この2つの要素の組み合わせで決まります。

フォロワーシップの5つのタイプ

フォロワーシップは「積極的か消極的か」「主体的か依存的か」の二つの組み合わせによって以下の5つのタイプに分かれます。

  1. グッドフォロワー
  2. イエスマンフォロワー
  3. 指示待ちフォロワー
  4. 評論家フォロワー
  5. 妥協フォロワー

図で表すとこのようになります。5つのタイプの違いを解説していきます。

グッドフォロワー

積極的 ◯  主体的 ◯

このタイプが理想のフォロワーといえるでしょう。

自ら考え、考えたことを行動に移すことができます。

いい点
  • 自ら問題を発見し、担任・リーダー・クラスに問題が起きていることを伝えることができる
  • クラスの問題に対して自ら問題の解決方法を考えて、担任・リーダー・クラスに改善方法を提案することができる
  • 問題を解決するために必要な準備(道具の用意・協力者への声かけ・事前に許可をもらう)を自ら考えて行動することができる
悪い点
  • なし

といった行動ができる人です。

このタイプのフォロワーが多くいるチームは、チームとして成果を発揮しやすくなります。

イエスマンフォロワー

積極的 ◯  主体的 ✖︎

このタイプはイエスマンであることが多くあります。

積極的なので行動は起こす気持ちはありますが、依存的なので自分で考えることはありません。

例えば、

いい点
  • 「次は何をしたらいいですか?」「何かできることはありますか?」とリーダーや担任に質問することができる
  • 言われたことに対しては積極的に行動することができる
悪い点
  • 自分で考えていないので、指示されたことしかできない
  • 新しいイノベーションを起こすことはできない

指示待ちフォロワー

積極的 ✖︎  主体的 ✖︎

このタイプはチームにマイナスの影響を与えるケースが多くあります。

このタイプのフォロワーが多いと、雰囲気が重たくなりチームのリーダーがしんどくなるケースが多くあります。

いい点
  • なし
悪い点
  • 依存的なので、自分で考えずに言われたことだけにしたがう
  • 消極的なので、指示をされても進んで行動しない

評論家フォロワー

積極的 ✖︎  主体的 ◯

このタイプは意見を言うものの自分では行動をしません。

いい点
  • 自ら問題を発見することができる
  • 問題に対して自ら問題の解決方法を考えることもある
悪い点
  • 意見はいうものの実際に行動をしようとしない
  • 批判的な意見を言うが自分は何もしないといったようなチーム意識が欠如している

妥協フォロワー

積極的 △  主体的 

このタイプは、積極性も主体性もないわけではありません。なので、チームに対してマイナスの影響を与えませんが、「これぐらいでいいか」と妥協する傾向があります。

いい点
  • 積極性も主体性もある程度はあることから一定の成果をだすことはできる
悪い点
  • 一定の成果はでるものの大きなイノベーションが起きることはない

目指すべきは「グッドフォロワー」

5つのフォロワーシップのタイプを紹介をしました。

この中で、目指すべきは「グッドフォロワー」です。

イエスマンフォロワーや妥協フォロワーはチームに悪い影響を与えるわけではありませんが、指示待ちフォロワーや批判的な評論家フォロワーのチームにマイナスの影響を与えることになります。

そこで、クラスメイトの「積極性」と「主体性」を高めていくことでグッドフォロワーへと近づくことができます。

グッドフォロワーが多いチームは大きな成果を発揮できるチームへと成長することができます。

フォロワーシップを測定 【20の質問】

ここまでで、フォロワーシップの5つのタイプの違いを理解していただけたと思います。

では、実際にあなたやあなたのクラスメイトは5つのタイプのうちのどのタイプなのでしょうか。主観的に判断してもいいのですが、次の20個の質問に答えるだけでより客観的に判断することができます。

質問の項目は、中学生にはレベルに高く感じるかもしれませんが一度20個の質問に答えてください。

フォロワーシップを測定する20の質問

「積極的か」に関する質問

  1. 困っているクラスメイトの悩みをリーダーや担任に橋渡ししている
  2. 問題があった場合、自ら積極的に行動している
  3. クラスでの話し合いでは、リーダーや担任の発言に対し積極的に質問や意見をしている
  4. リーダーや教師の考えに対し、納得していないクラスメイトに対し自分がクラスメイトに話をしている
  5. リーダーや教師が動きやすくなるように、調整などを行うようにしている
  6. リーダーや教師に「サポートできる事はないか」と確認している
  7. リーダーや教師に代わって、無言的にリーダー業務を行っている
  8. リーダーや教師から重要なプロジェクトを任されている
  9. クラスメイトや教師と良好な人間関係を築けている
  10. 自分の係や役割を超えて影響力を与えている

「主体的か」に関する質問

  1. クラスに問題があるときに、主体的に解決策をリーダー・教師・クラスに伝えている
  2. クラスの目標が達成できそうにない時に、リーダー・教師・クラスに解決策を提案している
  3. 水面下に隠れているクラスの問題を把握している
  4. その水面下の問題を解決する方法をリーダー・教師・クラスに提案している
  5. クラスの問題、課題を把握するために、リーダー・教師・クラスに時間をもらっている
  6. クラスの問題課題を把握するためにクラス以外の人(他クラスの生徒・他クラスの教師)に時間をもらっている
  7. 日ごろから他クラスの成功事例をチェックするなど参考にできそうなことを探している
  8. 日ごろから学校の外(本・習い事・保護者)の成功事例をチェックするなどを参考にできそうなことを探している
  9. いかなる生徒・教師でも遠慮せず本音で会話をするようにしている
  10. このクラスは自分が良くしないといけないと思っている

アンケートに答えたら「積極的かに関する質問」と「主体的かに関する質問」にそれぞれ何個当てはまっていたかを数えてください。あとは下の図を見てそれぞれの当てはまるフォロワータイプを見つけてください。

フォロワーといっても様々なタイプがあります。

私自身もこの20の質問に答えました。すると、自分が持っていたよりも消極的で、依存的だったということがわかりました。多くの人が私と同じように自分が思っているよりも低い結果になるのではないでしょうか。

自分がどのタイプのフォロワーシップのタイプかが分かれば後は「積極的」かつ「主体的」になれるように成長をしていけばいいのです。

積極的に行動するために大切なこと

生徒が積極的に行動を起こすようになるためには次の3つが大切です。

  1. 心理的安全性を高める
  2. 結果ではなく挑戦した過程を認める
  3. giveする喜びを感じさせる

心理的安全性を高める

挑戦をするためには、その場が安全でなければいけません。

一度、想像してみてください。あなたが発言をした時に「お前の考え方は間違っている」と頭ごなしに否定されたらどう思うでしょうか。あなたが挑戦し、失敗した時に「そんなことも出来ないなんて・・・かっこわるいな」と批判されたらどう思うでしょうか。きっと2度と挑戦したくないと感じてしまうのではないでしょうか。

だからこそ、まずは生徒にとって教室が安全な場でなければ積極的に行動を起こすことはできないのです。

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心理的安全性について詳しく書かれた記事はこちらです。

非常に大切なのでぜひご覧ください

 こちら→心理的安全性を高めるハートビーイング【中学校学級経営】

結果ではなく挑戦した過程を認める

心理的安全性が高まると、生徒は積極的に行動することができるようになってきます。ここで大切なのが、生徒が積極的に挑戦した時に、

後悔させないこと

です。

「難しいことにも積極的に挑戦してよかった。」「また積極的に挑戦したい」と思って欲しいものです。そこで、大切なのは、

「結果ではなく挑戦した過程を認める」

ということです。

生徒は、ついつい結果を重視ししてしまいます。

頑張ってもうまくいかなかったら、「やっぱり自分はだめなんだ・・・」と感じてしまうことがあります。

しかし、大切なことは結果がでるまでの過程に隠されています。

もし仮に、積極的に行動した結果が自分の納得できるものではなかったとしましょう。だとしても、それは今回の結果です。もう一度、挑戦すれば今度は成功するかもしれません。もう一回失敗したとしても、その次は成功するかもしれません。

今回は何度やっても成功しなかったとしても、別の目標を持った時に今度は成功するかもしれません。

積極的に挑戦することで私たちは成長することができます。

だからこそ、頑張って取り組んだ過程に対して、

「頑張ったね」「ここまで頑張ってきた努力は素晴らしい」

と生徒が積極的に挑戦した行動を認めてあげることが大切です。

giveする喜びを感じさせる

GIVE &TAKE(アダム・グラント著)という本の中には、人間は3つのタイプがあるという内容が書かれています。

このようにわかれます。

ギバー・・・ギブアンドテイクの関係を相手の利益になるようにもっていき、受け取った以上に与えようとする

テイカー・・・自分を中心として考え、常に与えるより多くを受けとろうとする

マッチャー・・・与えることとうけとることのバランスをとろうとする

この本の中では、最も成功をする人は「ギバー」であるという内容が書かれています。

それだけ、人に何かを与えるということは相手にとっても自分にとっても素晴らしいものなのです。

あなた自身も、人のために行動した時に、相手が喜んでくれたら嬉しく感じるのではないでしょうか。

例えば、

  • 恋人にプレゼントを贈ったらとても喜んでくれた
  • 友人が悩んでいる時に話を聞いてあげたらスッキリした顔になってくれた
  • 重たそうな荷物を運んでいる人を手伝ったら「ありがとう」と言って喜んでくれた

ささいなことでも嬉しいものです。

しかし、次の場合はどうでしょうか。

  • 恋人にプレゼントを贈ったが嬉しそうではなかった
  • 友人が悩んでいる時に話を聞いてあがたのに納得しない顔で帰っていった
  • 重たそうな荷物を持っている人を手伝ったら無言で去っていった

決して、見返りを求めて行なっている行動ではないものの人のためにと思って行動したことが誰からも認めてもらえなければ悲しいものです。

だからこそ、生徒が人のために積極的に行動を起こすことができた時には、そのタイミングを逃さずに

「ありがとう」「助かった」「◯◯さんも喜んでいたよ」「すごいね」

と積極的に行動したことに対してポジティブな関わり方をしてください。

「いやいや、そんなことは当たり前でしょう」と思った先生もいるかもしれません。しかし、もう一度生徒とのかかわりを振り返ってみてください。もし、心当たりがある先生がいたら、次のチャンスには必ずポジティブな関わり方をしてあげてください。

自分が行った行動が、ささいなことでも人の役に立ったと実感すると、「また人のために何かをしてあげたいな」という思いが強くなっていくものです。

主体的に行動するために大切なこと

チーム意識を育てる

主体的に行動する生徒を育てるためには、「他人事」ではなく「自分事」にする必要があります。

そのためには一人ひとりがチームの一員であることを意識させる必要があります。チーム意識が高まってくると、主語が

「私」から「私たち」

へと変わっていきます。

まずは、クラスの問題は自分にとって重要な問題であると感じるように訴えかけていくところから始めましょう。

「あなたならどうする?」を考えさせる

生徒の主体性を育てていくために次に大切なことは、「あなたならどうする?」と考えさせることです。問題が「自分事」に感じるようになったら、その問題を「自分ならどうやって解決するか」という自分なりの回答を持てるように指導していきます。

だからこそ、意識的に「自分で考える時間」を確保するように心がけてください。

解決するべき問題を発見しても、自分で考える前に先生や他の生徒が答えを出していては自分で考える力は育っていきません。そこで、生徒一人ひとりに考えさせるためにも「あなたならどうする?」と問いかけてください。

課題を解決するための正解は一つではありません。さまざまな正解があるからこそ、一人ひとりの意見を大切にしたいものです。

「あなたはどう思う?」「何か解決できる方法はある?」

という問いかけを多くしてみてください。

決定権を与える

最後に大切にして欲しいのは、「徹底権を生徒に与える」ということです。

よく、生徒には「自分で考えろ!」というものの、すでに教師の中に答えを持っていて生徒が教師の思っている答えと違う答えを出した時に、「違う!考え直せ!」というふうに指導してしまうこがあります。

これを繰り返すことで、生徒は自分のオリジナルの解決策を考えることから、教師がどのような答えを求めているかを考えるようになっていきます。

これでは、生徒が本当の意味で主体的に取り組んでいるのではなく、教師の顔色をうかがっているだけになります。

だからこそ、教師は生徒に「任せる」とこが大切になります。

もちろん、明らかに失敗する場合や、その解決方法が誰かの安全を脅かす可能性があるならばすぐにアドバイスをして生徒に考え直してもらうこともあります。

しかし、基本的には生徒が考えた課題の解決方法を尊重し、信用して任してあげてください。

任せることで、生徒は必ず成長のきっかけを与えることができます。

生徒を信じて、任せる勇気を持ちましょう。

もちろん、初めはアドバイスをだすことが多くなるかもしれません。しかし、継続していくことで必ず成長していくようになり、自治的な集団へと成長していくのです。

定期的なフォロワーシップが高まったかを確認する

フォロワーシップを育てようと思い、生徒に指導していくと必ず良い方向へと変化していきます。

みるみる成長していく中学生だからこそ、1学期に1回など、定期的に「フォロワーシップを測定する20の質問」に答えてみてくだい。期間をあけてアンケートに取り組むことで、生徒がどのように意識が変わっているかを客観的に把握することができます。

上で説明したフォロワーシップの5つのタイプも変化していくことが実感できると思います。

まとめ

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今回は、「リーダーシップよりフォロワーシップが大切な理由」として、フォロワーシップについての解説をしました。

リーダーシップと比べるとまだまだ普及されていない「フォロワーシップ」という考え方ですが、自治的なチームを作るためには欠かせない非常に重要な要素です。

私自身も学級経営をしている中で生徒のフォロワーシップが成長することでクラス持つ、集団としてのエネルギーが大きく成長することを実感しています。

今回も最後までお読みいただいてありがとうがざいました。

ABOUT ME
心先生
「心を育て、心を繋ぐ」がモットーの中学校教師、心先生といいます。 30代前半の体育教師です。専門種目はバスケットボールです。私自身、バスケットボールを通して、心が育った経験から、生徒たちの心を育てたいと考えるようになりました。 生徒を育てるために、日々奮闘している先生の何か役にお役にたてればと思い発信しています。